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本記事では、仮想通貨DASH(ダッシュ)の仕組み・今までの価格推移・将来的にどうなるのかまで解説するので、今後購入する際の参考にしてください。
目次
DASH(ダッシュ)とは、匿名性が高く迅速な取引が可能な仮想通貨であり、「Privatesend」と「InstantSend」と呼ばれる2つの機能を用いる事でプライバシー保護と瞬時なトランザクションを実現させます。
では、DASHの基本情報を見ていきましょう。
DASHは2018年9月現在時価総額第12位に位置しており、その規模はおよそ2,000億円にも及びます。
なお、DASHの他にも類似の匿名通貨は「Monero」や「Zcash」が上位に位置しており、現在Moneroが10位、Zcashが20位に位置しています。
このDASHは2014年にビットコインからフォークして生まれており、DASHの開発は「DASHコアチーム」によって行われています。
なお、DASHは当初「XCoin」としてリリースされましたが、その1ヶ月後となる2014年2月に「Darkcoin」へと名称変更、そして2015年の3月以降「Digital Cash」を混合した現在の「DASH」という名称へと変わっています。
では、DASHの具体的な仕組みを見ていきましょう。
ブロックチェーンは全ての情報がオープンであり誰でもその内容を確認出来るといった特徴がありますが、その反面で、他には知らせたくないような機密情報もクリアになってしまうといったプライバシーの問題がありました。
しかし、DASHでは匿名性を高める為に「Privatesend」と呼ばれるトランザクション形式を活用してその問題を解決します。
(※2016年に「Darksend」から「PrivateSend」へと名称変更)
このPrivatesendは「ミキシング」と呼ばれる方法を用いており、送金処理の段階で送金情報を管理する管理ノードをシャッフルして誰がどの受取人にトランザクションを行ったかを分からなくします。
このように、各DASHのトランザクションを管理ノードでシャッフルしてアウトプットする事で、プライバシーの保護を図ります。
そもそも既存の現金では、自分の保有しているお金の履歴を見ることは不可能であり、手元の千円や一万円が過去に誰に使われたのかまでは確認できません。
だからこそ既存の現金は代替え可能なお金として機能しており、このDASHもプライバシーを保護して真のデジタルキャッシュになる事を目指しているのです。
なお、DASHでは匿名性に加え迅速なトランザクションも実現可能なのですが、それが2015年に導入された「Instant Send」と呼ばれる機能です。
(※2016年に「InstantX」から「InstantSend」へと名称変更)
このInstantSendによってネットワーク内のトランザクションの承認を「マスターノード」が検証するようになります。
DASHでは、1,000DASHと24時間稼働させるコンピュータを保有しているノードがマスターノードとなれるのですが、そのマスターノードにトンランザクション承認を一任させる事で、その承認時間を1.3〜4秒で処理する事が可能となるのです。
ビットコインはブロックの承認に10分掛かるように設定されていますが、DASHであればそれを数秒で実現出来るようになります。
DASHの他にもMoneroやZcashといった匿名通貨が存在していると上述しましたが、それらとDASHとではどういった違いがあるのでしょうか?
まず、それぞれに実装されているアルゴリズムを見ていきましょう。
DASHは匿名性を高める技術として「PrivateSend」と呼ばれる技術を採用していると説明しましたが、Moneroは「CryptoNight」、Zcashは「ゼロ知識証明」と呼ばれるアルゴリズムを採用しています。
まず、Moneroの「CryptoNight」は「リング署名」と呼ばれる技術から成り立っています。
リング署名とはブロックチェーンにおける電子署名技術の一種であり、これを用いる事でそのトランザクションの送信者が誰であるのかを分からないようにする事が出来ます。
通常のトランザクションで用いられる送金アドレスの部分を「ワンタイムアドレス」と呼ばれる一時的なアドレスで代用する事で匿名性を保つ事が出来るんですね。
このように、一度きりしか使われないアドレスを都度生成する事によって送信元を不特定とする事が出来るのです。
そして、Zcashのゼロ知識証明とはそのトランザクション情報の中身を隠した状態で相手に正当な取引を証明する技術です。
このZcashのゼロ知識証明を用いる事で他の匿名通貨とは違って送金の数量も匿名化する事が可能となります。
そして、それぞれの承認時間と発行上限も異なっており、それは以下の表の通りです。
通貨名 | 承認時間 | 発行上限 |
---|---|---|
Monero | 2分 | 上限無し |
DASH | 1.3秒 | 2,200万枚 |
Zcash | 10分 | 2,100万枚 |
以上の3つの中でも最も承認時間が早いのがDASHであり、Zcashの承認時間はビットコインと同様に10分となっています。
なお、DASHやZcashが発行上限がある中でMoneroだけは上限が設けられていません。
このように、一概に匿名通貨とは言ってもそれぞれ細かい特徴が異なっているのです。
次にDASHの価格推移を見ると、今年に入ってからのDASHは右肩下がりとなっており、2018年8月下旬には今年の安値となる140ドル台を付けました。
現在は1DASH=200ドル台で推移していますが、依然その価格は去年の7〜8月頃の水準と同程度です。
では、価格変動が大きかった過去のトピックとその動きを振り返っていきましょう。
2018年11月9日、DASHは大手の海外取引所である「Huobi」に上場した事で高騰しています。
Huobi Pro Launches Dash on November 9th??? https://t.co/H7RiZKn1RU https://t.co/f7Ywk8NGst
— Huobi (@HuobiGlobal) November 9, 2017
そしてDASHはこのHuobi上場以降、年末にかけて大きく上昇する事となり、年末までで一気に5倍を超える高騰となったんですね。
2018年8月25日、DASHは南米の携帯会社である「Crypto Mobile Corporation」と提携しており、これによってハイパーインフレを起こしているベネズエラでのDASHの需要が高まる期待が膨らみました。
ベネズエラでは特にこのDASHの普及が進んでいますが、今回の提携では同社がDASH用のウォレットを搭載したウォレットをリリースするとも発表されています。
MAJOR NEWS – @Dashpay has announced an exclusive relationship with @KriptoMobile to provide Latin Americans with an affordable way of acquiring & using #Dash for everyday transactions. Phones are pre-loaded with complete $Dash ecosystem. ???https://t.co/XasBlsqkD1
— Mark Mason (@StayDashy) August 27, 2018
今回の提携やベネズエラの市況の影響もあり、DASHは1日で40%の上昇をみせました。
では次にDASHの将来性について見ていきます。
2016年1月、DASHは世界で30%のシェアを獲得している仮想通貨専用のATMサービスを展開する「Lamassu社」と提携しています。
デジタルキャッシュを目指すDASHにとって、その用途はイーサリアムのようなユーティリティーな機能ではなく、主流となるのは決済や送金です。
その決済の部分で日常的に普及する為には、このような物理的なATMの普及も欠かせないでしょう。
今後の同社のATMサービスの利用店舗拡大に期待したい所です。
なお、このDASHは上述した通り、ハイパーインフレで自国通貨の信用が低いベネズエラなどでの普及が期待されています。
IMFによると今回のベネズエラのインフレは年内に1,000,000%に達する見込みだとされており、同国の国民は仮想通貨を保有するインセンティブが高くなっているのです。
また、新興国では銀行口座を持てない人の割合が高い国もある為に、その決済プラットフォームが普及すれば、わざわざ現金では無くスマホで決済出来るDASHを選び出すかもしれません。
DASHは匿名性を高められる特徴がありますが、それによってプライバシーを保護する事が出来るのと同時にマネーロンダリングの使用を高める事にも繋がってしまいます。
実際に日本の金融庁もこの仮想通貨によるマネーロンダリングを大きく懸念視しており、その対策としてマネーロンダリングやテロ資金供与に関するガイドラインを敷いています。
また、コインチェックも匿名通貨を全て廃止している事から、今後政府の方針にそぐわない仮想通貨として規制を受けるリスクも非常に高いと言えるでしょう。
DASHでおすすめの取引所は、中国の取引所ZB.comです。
ZB.comは以下の通り、DASHの全体の流通におけるおよそ60%を占めています。
ZB.comは中国語がデフォルトであり、日本語訳もありますがそれは十分な翻訳であるとは言い難く、Google翻訳をしながら進めるのが良いでしょう。
また、DASHの流動性以外に取引所の利便性を求めるならBinanceがおすすめです。
Binanceは手数料が0.1%と最安値の水準であり、その信頼は非常に高いと言えます。
また、Binanceでは日本円での取引が出来ないので、DASHを購入する場合は最初に日本の取引所でBTCを購入し、その後BinanceにBTCを送金するようにしましょう。
続いてDASHのウォレットですが、最もおすすめなのはDASHが公式で発行しているウォレットアプリケーションです。
出典:DASH
DASHの公式ウォレットはデスクトップ用とモバイル用に分かれており、以下のように公式サイトからダウンロードする事が可能です。
モバイルの場合、一番オーソドックスなDash Walletが良いでしょう。
出典:App Store
また、オフラインで仮想通貨を保管するハードウォレットであれば「Ledger Nano S」もDASHに対応しているので、使用用途によって保管ウォレットを選定するようにしましょう。
以上がDASHについてでしたが、DASHは現在上位の匿名通貨として注目を集めています。
DASHは匿名性や決済の即時性を活かして、ビットコインも本来の「お金」に近づけたデジタルキャッシュを目指しており、その可能性はまず新興国にあるのではないかと筆者は考えています。
日本では銀行口座の保有率が90%を超えており既存のインフラで困難な事は少ないと言えますが、新興国では銀行口座を持たない人が大半を占めており、そういった既存のインフラをすっ飛ばして新たな決済プラットフォームとして普及する可能性があります。
今後もそのニュースや動向に要注目です。
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。