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本記事では、仮想通貨Ethereum(イーサリアム)の仕組み・今までの価格推移・将来性について解説するので、今後購入する際の参考にしてください。
目次
Ethereum(イーサリアム)とは、スマートコントラクトを用いてあらゆる分散型アプリケーション(Dapps)の開発やICOトークンの発行ができるブロックチェーンプラットフォームです。
では、以下よりその基本情報を見ていきましょう。
イーサリアムは現在時価総額2位に位置しており、その規模は2018年9月現在で約2兆円と、ちょうど日本のヤフーと同じ程度の時価総額となっています。
なお、2018年9月現在、イーサリアムの規模は3位のリップル(XRP)の2倍程度で推移していますが、その市場シェアは現在全体の10%を割っており、ビットコインの市場シェアが57%とその割合を拡大させています。
このビットコインに次ぐ規模のイーサリアムを作り上げたのは当時19才だった「ヴィタリック・ブテリン」でした。
小学生からプログラミングに励んでいたブテリンは、革新的とされていたビットコインに興味を持ち大学を中退して世界中を飛び回っていたのですが、そこでビットコインの次のフェーズとなる仮想通貨を作ろうと考え、ビットコインの「分散型」という概念に「スマートコントラクト」を加えて実装したイーサリアムを誕生させたのです。
また、ヴィタリックが20歳だった2014年、イーサリアムはICOによる資金調達によっておよそ15億円を集めました。
それがイーサリアムの原点です。
では、このイーサリアムは代表的な仮想通貨であるビットコインとどう違うのでしょうか?
両者を大きく分類分けすると、ビットコインは「P2Pのデジタル決済通貨」が主な用途として設計されていますが、イーサリアムは「アプリケーションを開発する為のプラットフォーム」を主な用途とした設計とされています。
なので、イーサリアムはビットコインの「通貨」という枠組みを超えて様々なアプリケーション、デジタルトークンを作ることが出来るユーティリティー機能を持ったコインだと言えます。
では、以下よりイーサリアムの仕組みや特徴を見ていきます。
イーサリアムでは、上述した「スマートコントラクト」によってあらゆる契約を自動執行出来るプラットフォームを作り上げます。
スマートコントラクトは仲介者不在で一連の取引を完了させる事が可能であり、
以下の流れで契約の自動執行が行えます。
これによって企業はコストの削減を図る事ができ、尚且つ契約が自動的に回るアプリケーションや、将来を予測する予測市場をイーサリアム内で実現させられるのです。
なお、イーサリアムを用いた予測市場のプラットフォームとして代表的なのが現在時価総額46位のAugur(REP)です。
なお、イーサリアムではそのブロックチェーン上であらゆる用途に応じた独自のトークンを発行する事が出来ます。
それはイーサリアムの技術仕様である「Ethereum Request for Comments(ERC)」と呼ばれるプロトコルを基に発行する事ができ、代表的なのが「ERC20」という仕様です。
このように、各ブロックチェーンプロジェクトは自前でブロックチェーンを構築していなくてもイーサリアムのようなブロックチェーンを使って誰でもトークンを発行出来るんですね。
そして、現在イーサリアムをベースとしたERCトークンは上位の仮想通貨のほとんどで用いられている事が分かります。
このように市場に出回っているほとんどがイーサリアムベースとなっており、現在独自のブロックチェーンを構築している「EOS」「TRON」「VeChain」なども、以前はイーサリアムベースのERCトークンでした。
イーサリアムに類似した通貨として、イーサリアムからハードフォークした「イーサリアムクラシック(以下ETC)」があります。そのイーサリアムクラシックと本家のイーサリアムとでは何が違うのでしょうか?
ETCの誕生には「THE DAO事件」という背景がありますが、他にも用途の違いやその供給量の違いがあります。
まず、この本家イーサリアムはDappsやICOトークンを構築するプラットフォームとして現在活用されています。
しかし、ETCは主にIoTデバイスに特化したプラットフォームなんですね。
またその供給量について、ETHには発行上限が存在していませんが、ETCは発行上限が2億3,000万ETCと決まっています。
そしてETCはマイニングによる通貨報酬の半減期も定められており、50万ブロック毎に報酬が20%ずつ減少していきます。
マーケットの理論通りに行くと、供給量が減って行くとその市場に流通しているモノの価値は上がるので、半減期を迎えると価格上昇の可能性があると言えます。
なお、イーサリアムには上限が決められておらず、あらかじめ決められたマイニング報酬の半減期もありません。
しかし、現在イーサリアムでは想定していたよりも多くETHが供給されている状態であり、コア開発陣によってそのマイニング報酬を3ETHから2ETHへと引き下げようとしています。
次にイーサリアムの価格推移です。
ETHの価格は2018年1月の中旬にかけて一気に上昇しましたが、その後は右肩下がりに下落しており、1月から執筆時点の9月にかけておよそ70%も縮小しています。
2018年9月12日現在のETHの価格は180ドルを割る水準となっており、去年の7月頃と同程度の推移となりました。
直近の8月〜9月にかけては大きく下落し、2018年初からの長い下落トレンドを抜け出せられないETHですが、なぜイーサリアムが大きく下がっているのでしょうか?
今年に入ってビットコイン以上の下落率を魅せているイーサリアムですが、そのETHのチャートは8月に入ってから大きく下向きとなっている事が分かります。
出典:Tradingview
その要因としては、ETHを受け取って資金調達していたICOプロジェクトの多くが、その資金開発費用の為にETHを売却している為とされています。
特に2018年6月には、EOSが独自のメインネットをローンチした事でETHのブロックチェーンから外れましたが、そこで資金調達用に発行されていたERC20ベースのEOSが大量に売却されました。
2017年に多くのICOプロジェクトがホワイトペーパーを発行して資金調達を行いましたが、仮想通貨市場が全体的に悲観的となってきたタイミングで、手元にあるETHを換金して現金化する動きが一層強まったという見方が出来ます。まさに「売りが売りを呼ぶ」といった状態です。
次に考えられるのが、ICO市場の規模縮小です。
イーサリアムはICOトークンを発行するプラットフォームを構築すると上述しましたが、そのICO市場は以下の通り、現在縮小傾向にある事が分かります。
出典:coindesk
折れ線グラフはICOの件数、黄色の棒グラフはICOによる調達額を表していますが(一つ突出しているのは6月のEOSの調達額)、その伸び率は鈍化しており、7月の総調達額は6.7億ドル程度に留まりました。
このように、各国でICOの規制や監視が強化される中、ICO市場が縮小している事がETH下落のもう一つの原因として考えられます。
では、イーサリアムの将来性について見ていきます。
米シカゴ・オプション取引所(CBOE)は、年内にイーサリアムの先物取引が開始する計画を立てている事を発表しています。
同取引所はシカゴ・マーカンタイル取引所と共に昨年ビットコインの先物を上場させていますが、ETHも今後先物市場に上場する事となればビットコインの先物のように「売り圧力」が高まる可能性があるでしょう。
(※先物取引では単純な「買い」だけではなく「売り」から入る事も出来る。)
ビットコイン先物の上場後は一向に高値を更新する事は無くその価格を縮小させてきましたが、イーサリアムも同様に大きな市場での売りが殺到する可能性も高いと言えます。
今まで様々な下落要因などを上述してきましたが、あくまで今日のETHの市場は専ら投機的な需要が多く、実体経済で活用されるようなプロダクトはまだ何も生まれていません。
よって、市場での適正な価格が分かりにくく、依然大きな乱高下が続いていると言えるのです。
また、イーサリアムでは「イーサリアム企業連合(EEA)」と呼ばれるスキームが発足しており、これは企業レベルでイーサリアムを実体経済に活用していく事を目指しています。
そこにはJPモルガンやマイクロソフトなどといった世界中の代表的企業が参画しており、それらの企業がビジネスにイーサリアム活用するとなると、それは長期的なETHの価値向上に繋がると言えるでしょう。
しかし、実体経済でのイーサリアム活用はすぐすぐには考えられず、向こう3〜5年スパンで徐々に取り入れられていくのではないかと予想しています。
では、ETHを購入できるオススメの取引所を紹介します。
ETHの購入で最もオススメなのはQUOINE社が提供する、最近新しくローンチされた「Liquid(旧QUOINEX)」です。
出典:Liquid
LiquidはETHを日本円で板取引をする事ができ、国内最大級のETH/JPYの取引ボリュームを誇っています。
ただ、LiquidではBTC/JPY以外のペア取引は取引時に約定金額の0.25%がかかるので、その点は注意しておきましょう。
また、Liquidの他にも日本の取引所であれば「bitbank」や「Zaif」などでETHを購入する事が出来ます。
特にZaifはLiquidと同様にETH/JPYで取引する事ができ、且つ取引手数料が無料なのでお得です。
※追記
Zaifは2018年10月現在、新規登録を一時中止しています。
また、もう一つのbitbankでは同様に取引手数料が無料ですが、ETH/BTCのペアしか無いために日本円で直接買い入れる事は出来ません。
そしてその他のETHが流通している海外取引所は以下の図の通りです。
イーサリアムのオススメウォレットは「MyEtherWallet」もしくは「MetaMask」です。
両者ともにイーサリアムやERCトークンに対応したウォレットであり、複数のERCトークンを保有している人や、ICOトークンを頻繁に購入する人にはもってこいのウォレットです。
また、MetaMaskはGoogleChromのブラウザに対応したウォレットなので、分散型取引所である「EtherDelta(イーサデルタ)」とも即座に連携出来ます。
以上がイーサリアムについてでしたが、現在ICOトークンの売りやICO市場の縮小などの要因によって大きく下落しています。
それに加え、ネットワークのキャパがトランザクションに対して足りなくなるといった「スケーラビリティ問題」も同時に抱えているのが現状です。
取引処理の遅延やそれに伴う手数料高騰は今後の実用化に向けて大きな課題となっていますが、今後のイーサリアムネットワークのアップデートやそれによる新たな技術の実装が普及の鍵となりそうです。
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。