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本記事では、分散型取引所EtherDelta(イーサデルタ) の概要・登録手順・基本的な使い方までを紹介するので、是非今後の導入の参考にしてみてください。
目次
EtherDelta(イーサデルタ) とは、イーサリアムを基軸通貨とした分散型取引所(DEX)です。
分散型取引所とは中央にサーバーや管理者を置かず自律的に稼働する取引所であり「Decentralized Exchange」の略で「DEX」とも呼ばれています。
既存の中央集権型の取引所では、一箇所のサーバーにユーザーのデータが管理されている為に、ハッキングリスクや内部での顧客資産持ち逃げのリスクがありました。
実際に日本では2018年1月にコインチェックがハッキング事件に遭い、そして2014年には破綻した取引所マウントゴックスが顧客資産を持ち逃げしました。
ですが、DEXは中央管理者が不在で分散されているので、上述したハッキングリスクや信用リスクなどを極力低くする事が出来るのです。
そんな分散型取引所のEtherDeltaは現在一日におよそ2,700万円程のボリュームがあり、その規模は他の中央集権型取引所とは劣ります。
また、同じ分散型取引所で取引高が多いのは現在Bancor Networkとなっています。
では、仮想通貨取引においてどの取引所を選択するかですが、その判断基準は主に「手数料」「取り扱い通貨の種類」「使いやすさ」「セキュリティ」の4つです。これらを自分の優先度に応じて比較しましょう。
また、その取引所にしかない独自の特徴も押さえておけば、より自分に合った取引所の選択が出来るようになります。
では以下より、EtherDeltaの具体的な特徴を見ていきましょう。
EtherDeltaでは2018年8月現在67種類の仮想通貨が取り扱いされており、その全てがETHを軸に取引されています。
EtherDeltaでは多くのERC20トークンが取り扱いされており、同時にICO直後のマイナーなアルトコインも比較的直ぐに上場します。
なので、潜在能力の高いトークンもEtherDeltaに潜んでいる可能性があると言えるでしょう。
なお、EtherDeltaで最も多く取引されているのが現在時価総額120位のVeritaseum(ヴェリタシアム/VERI)であり、全体の45%程を占めています。
また、多くのERCトークンが同取引所に上場していますが、その取引ボリュームはBinanceやBittrexなどと比べて多いとは言えず、流動性がまだまだ少ないのが現状です。
EtherDeltaでは入金や出金、取引の全てにイーサリアムネットワークを維持する為の「GAS手数料」が必要となり、おおよその手数料目安は以下です。
出典:Reddit
公式の回答ではガス価格を4gweiに設定する事がお勧めされており、その取引のトランザクション優先度は市況によって左右されます。
これは既存の中央集権型取引所とは手数料体系が異なっており、EtherDeltaは中央管理者不在の分散型なので、中央管理者が運営維持の為に取っていた手数料が大幅に削減されます。
よって、分散型取引所では必要な手数料がその通貨(EtherDeltaならETH)のトランザクション手数料のみとなります。
これにより本来なら中央集権型の取引所よりも安い手数料で取引出来るはずなのですが、現状ETHのトランザクションに必要なGAS手数料がETHのトランザクション状況によって上がったり下がったりしています。
このGAS手数料は入金・出金・売買の際に都度発生する為、状況によっては莫大な手数料となる事もあるのです。
下記図はETHのネットワークを利用する時に掛かる取引手数料の推移を表したものですが、見ての通りその価格は取引ボリュームによって大きく変動しています。
出典:Etherscan
分散型取引所のEtherDeltaではトランザクションの際にこのトランザクション手数料を支払う必要があるのですが、標準より低い手数料額に設定すると承認が遅くなってしまいます。
このように、EtherDeltaではGAS手数料によって手数料が割安か割高かが決まってしまうのです。
また、このイーサリアムのGAS手数料の問題はEtherDeltaに限らず、イーサリアムネットワーク全体で直面している課題です。
EtherDeltaはシンプルで分かりやすいUIとなっており、一つの画面上で入金や引き出し、取引などが行えます。
出典:Etherdelta
また、日本語には現状対応されていないのでその部分はデメリットだと言えるでしょう。
EtherDeltaは分散型取引所なので、全ての取引や資産の管理は自己責任となります。
ここは分散型取引所のデメリットとなるのですが、中央管理者が存在しない為にサポートセンターも存在しておらず、自分の資産を管理してくれる人もいません。
ですが、分散型だからこそ一箇所のサーバーに秘密鍵を置かないという点でセキュリティ性は高いと言えます。
ただ、万が一の際は補償も秘密鍵の復旧もありませんので、分散型取引所を利用する際は自己管理の意識を常に持っておくようにしましょう。
ではEtherDeltaの口コミや評判を見ていきましょう。
上述した通り、EtherDeltaはイーサリアムの取引手数料によってその取引コストが変動するので、時期によっては警戒が必要な場合もあります。
いまはEtherDelta(イーサデルタ)使わんほうがいいかも。
トランザクションフィーが上がりまくってる。 pic.twitter.com/4DfFbNgARM— DEG.lens (@DEG_2020) January 9, 2018
なお、まだまだ発展途上の取引所という事もあり、中々起動しないといった不具合も起こっていました。
イーサデルタが3日ほど動いていないようです。公式ツイッターからは過去ツイートが消え、ICOクラウドセールページは見られない状態に。 「etherdelta_2」には32億円分のイーサリアムと1392億円分のトークンがあります。 #EtherDelta pic.twitter.com/lifLUDS7xC
— Ryojin Sasaki (@ryojin_s) February 12, 2018
そして使いにくさを指摘する声も。
早く使いやすいDEX出てきて欲しい・・・
イーサデルタ使いにくすぎるんだよー
UXデザイナーの人起業して! https://t.co/7NMuD7WORG— ヒロ (@hirohiro_0000) January 31, 2018
ちなみにEtherDelta以来DEXアレルギー持ちなので絶対に使いません。
DEXの凄さは理解してますが、絶望的に使いにくい。
なので、HitBTC辺りに上場してから買います。— ネッセー (@mateyo_degawa) May 2, 2018
分散型取引所自体がまだまだ発展途上なので、長い目で整備されていくのを待つしかないでしょう。
では、実際にEtherDeltaの使い方を順に解説していきます。
まず最初に、イーサリアムを保管できるウォレットを用意する必要がありますが、今回は「Metamask(メタマスク)」を例に取り上げます。
Metamaskとは、ブラウザ上で使用する事が可能なイーサリアムウォレットであり、ブラウザ上で使用できるといった特性からEtherDeltaと連携がしやすいメリットがあります。
出典:Metamask
このMetamaskをインストールしてアカウントを作成した後、EtherDeltaを開くとMetamaskと連携されます。
下記画面の通り、ブラウザ右上にあるキツネのマークがMetamaskであり、EtherDeltaの「Account」メニューにはMetamaskのアドレスが反映されます。
もしもMetamaskのアドレスが反映されていない場合、その下にある「Import account」をクリックしてMetamaskから「Address」と「Private key」を読み込んで入力しましょう。
Metamaskからはメニュー画面の「詳細」をクリックすればETHのアドレスの確認や秘密鍵の読み込みを行う事が可能です。
アカウントをインポートすればウォレットとの連携は完了です。
次に入金と出金について見ていきます。
まず入金ですが、画面左側に表示されている「Balance」の「Deposit」を選択します。
画面上では連携先のウォレットとEtherDelta上のそれぞれの資産残高が表示されており、ETHを入金したい場合は画面上のAmountの部分に数量を入力して「Deposit」をクリックしましょう。
するとMetamask上で詳細が出てくるので、送金手数料等を確認して「SUBMIT」を押して完了させましょう。
なお、GAS手数料については上述しましたが、早急にトークンをトランザクションさせたい場合は通常のレートよりも少し高めの手数料金額に設定する必要があります。
では、次に出金です。
入金時と同様にBalanceの画面から、今度は「Withdraw」をクリック。
そして引き出したい通貨を選択して数量を入力後、横の「Withdraw」をクリックします。
すると同様にMetamaskの画面にて確認画面が表示されるので、確認して「SUBMIT」を押しましょう。
EtherDeltaの取引画面上のチャートはローソク足のみの表示で無駄な情報が掲載されていません。
このローソク足についてですが、基本的な説明は以下でしています。
続いて売買注文の方法ですが、自分で手入力で注文を出す方法と「Order Book」から価格を選択して注文する方法があります。
まずは手入力での注文ですが、こちらは数量、価格を自分で入力します。
なお、「Expires」は注文後の注文期間を表しており、上記の場合だと注文後10000ブロックが作成されるまでその注文が有効となります。
次にOrder Bookからの注文方法ですが、以下のように取引板の価格をクリックする事でその価格で注文を出す事が可能です。
これによって手入力で起こり得る価格設定ミスのリスクを防ぐ事が出来ます。
価格をクリックすると注文画面が表示されるので、数量を選択するとETHの価格や手数料が自動で反映されます。
確認後、「By Order」をクリックして注文を完了させましょう。
以上がEtherDeltaについてでしたが、このような分散型取引所のモデルは今後主流になっていくのではないかと筆者は考えています。
昨今多くの取引所がハッキング被害に遭っており、「取引所そのものは全く分散されていない」という懸念があったからです。
ただ、注文ミスや秘密鍵を失った際は誰もサポートをしてくれない点は大きな欠点となっています。
まだまだその発展には時間がかかるでしょうが、トラストレスに仮想通貨を交換できるインフラは日々成長しています。
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。