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本記事では、仮想通貨(ビットコイン)FXにかかる税金やその計算方法、そして他の金融商品である株やFX(外国為替)などとの税率の比較までを網羅的に解説していきます。
今後仮想通貨FXを本格的に実践していきたいと考えている人は、是非参考にしてみてください!
目次
2019年1月現在、日本の国税庁が公表している税制では、仮想通貨(ビットコイン)FXの売買によって得た利益は「雑所得」として分類され、所得税における総合課税の対象となり「確定申告」が必要となります。
仮想通貨FXで得た利益は雑所得として区分されるので、雑所得以外の以下の9つの所得と合算して所得額を算出し、確定申告を行わなければなりません。
なお、給与所得者であるサラリーマンの場合だと、仮想通貨FXで得た利益が年間20万円以下であれば所得税の対象から外れるので、確定申告は不要となります。
仮想通貨FXにかかる税率に関してですが、それは以下の「累進課税」が適用され、他の所得との合算値から計算されます。
出典:国税庁
上記の図のように、所得税は「所得金額×税率-控除額」によって決まるのですが、仮に仮想通貨FXで年間4,000万円の利益(所得)を生み出したとすれば、最高税率である45%が課される事となります。
さらに、上記の税率に加えて日本では一律10%の「住民税」が課せられる事となるので、4,000万円以上の所得を得た場合は実質55%の税率がかかる事となるのです。
なお、仮想通貨FXで得た利益は、それが海外の仮想通貨取引所から生み出された場合であっても税金がかかるので注意しておきましょう。
ただ、海外の取引所のほとんどは日本円ペアが存在しない為に、売買によって得た利益や取得単価を日本円レートに換算しなければなりません。
例えば、ビットコインを取引する場合はイーサリアム(ETH)やテザー(USDT)などをペアにして取引する事が多いでしょう。
また、各仮想通貨の日本円レートは「CoinMarketCap」や「CoinGecko」といった仮想通貨の情報サイトにて確認する事が出来ます。
なので、自身で事前に取得単価や売却額等を同サイトで確認しておくようにしましょう。
そして、仮想通貨FXで被った損失は損益通算する事ができません。(※2019年1月現在)
そもそも損益通算とは、損失を被って赤字となった所得を他の所得と相殺し、課税対象となる所得金額を減らす方法なのですが、仮想通貨FXによって出た損失はこの損益通算が不可となっており、損失額の翌年への繰越も不可能です。
しかし、他の所得ではなく、同じ仮想通貨の取引における「内部通算」であれば可能です。
例えば、「仮想通貨の現物取引で50万円の利益を出したが、ビットコインFXでは50万円の損失を被った」というケースであれば、その所得金額は0円となり、税金の課税対象にはなりません。
「ところで、仮想通貨の現物取引とFX取引でそれぞれ税金の掛かり方に違いってあるの・・?」
そう考える方も多いかと思いますが、結論から言うとどちらも同じでその計算方法にも違いはありません。(※2019年1月現在)
よって、確定申告の方法やその税率なども違いが無く、同じように雑所得として課税されるので注意が必要です。
仮想通貨FXで得た利益にかかる税金の計算方法についてですが、上述した通り以下の図から所得金額に応じて税率を掛け、そこから「控除額」を差し引きます。
出典:国税庁
「所得金額×税率-控除額」
例えば、その年の1月1日〜12月31日の1年間で、仮想通貨による利益が400万円だった場合、その計算式は以下の通りとなります。(仮想通貨以外にも所得がある場合は、それらも全て合算します。)
なお、所得税の他に一律10%の住民税もかかるので、利益となった400万円に10%を掛けた「40万円」も別途税金として支払う必要があります。
よって、仮想通貨FXで年間400万円の利益を得た場合、
となります。
しかし、とは言っても年間の所得が仮想通貨による利益だけというのはあまり現実的ではありませんので、ここから自身の給与所得や事業所得等を上乗せする事になります。
そうなると、余計に仮想通貨に係る税金も上がってしまうので注意が必要です。
なお、仮想通貨で出した利益額や税金の計算を便利に行えるツールなども存在しており、それらは以下の記事で解説しているので、気になる方は是非見てみてください!
>>>仮想通貨の税金を計算できるおすすめのツールに関してはこちら!
では、「仮想通貨・株式投資・FX(外国為替)」のそれぞれでどのように税金は異なるのでしょうか?
それぞれにかかる税率や税制の違いが一目で分かるように、税金についての違いを以下の表でまとめています。
仮想通貨 | 株式投資 | FX(外国為替) | |
---|---|---|---|
所得分類 | 雑所得 | 譲渡所得 | 先物取引に係る雑所得 |
課税体系 | 総合課税 | 分離課税 | 分離課税 |
税率 | 5〜45%
(住民税を含むと最大55%) |
一律20.315% | 一律20.315% |
仮想通貨の税金は総合課税で税率は最大45%(住民税を含むと最大55%)であるのに対し、株やFXは分離課税で一律20.315%の税率となっています。
そもそも株やFXは総合課税とは異なり、他の所得と合算せずに税額を計算可能な「分離課税」が適用されます。
その上、株やFXであればそれら単体で一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率となるので、どれだけ利益を得ても総合課税のように税率が上がるわけではありません。
一方、仮想通貨の場合は総合課税なので、他の所得でたくさん稼ぎがあったとすればその分税率が上がってしまうのです。
利益 | 仮想通貨の税額(住民税含む) | 株式投資の税額 |
---|---|---|
100万円 | 15万円 | 20万3150円 |
500万円 | 107万2500円 | 101万5750円 |
1,000万円 | 276万4千円 | 203万1500円 |
2000万円 | 720万4千円 | 406万3千円 |
5000万円 | 2750万円 | 1015万7500円 |
なので、利益額が少なければ仮想通貨の方が税率が低くはなりますが、反対に大きく稼げば稼ぐ程税率は仮想通貨の方が不利となるのです。
株やFXでは、確定申告を行う事でその年に発生した損失を最大3年間繰り越しする事が出来ます。
損失の繰り越しを行う事によって、その年に大きな損失を被ったとしても、翌年に出した利益にその損失分を相殺する事が可能です。
また、株式であれば「申告分離課税」による確定申告を行う事で、他の株式譲渡所得や配当所得などと損益通算を行う事も可能であり、FXの場合も同じ「先物取引に係わる雑所得」であれば損益通算が可能です。
仮想通貨 | 株式投資 | FX(外国為替) | |
---|---|---|---|
損益通算 | できない | 株式譲渡所得や配当所得と可能 | 先物取引に係る雑所得と可能 |
損失の繰り越し | できない | 3年間可能 | 3年間可能 |
例えば、株式でその年に損失を被ったとすれば、「申告分離課税」を選択する事で他の株式譲渡所得や配当所得などと相殺する事ができ、更に相殺し切れなかった金額は翌年の利益から差し引く事が可能です。
ですが、仮想通貨の場合だと、他の所得との損益通算や翌年への損失の繰り越しを行う事が出来ません。
なので、仮にその年に仮想通貨による損失が1,000万円だったとして、翌年に1,000万円の利益が出たとしても、翌年にはその1,000万円が丸々課税対象となるのです。
以上が仮想通貨FXの税金についてでしたが、現状仮想通貨の税制は株式やFXと比較しても不利な条件となっています。
仮想通貨の税率は住民税と合わせれば最大で55%まで課せられるのと同時に、他の所得との損益通算は不可能、そして損失の翌年への繰り越しも不可能であるのが現状なのです。
とは言っても、これが国によって定められたルールなので、自分が得た利益は必ず申告して税金を納めなければなりません。
市場のボラティリティ(価格変動)が大きな魅力となっている仮想通貨FXですが、もしも利益を上げたとすればその記録を必ず残しておき、忘れずに確定申告するようにしましょう。
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。