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本記事では、少額の元手で大きな金額の取引を行う事ができる、仮想通貨の「レバレッジ取引」についてを解説していきます。
この記事を見れば、仮想通貨のレバレッジ取引について必要な知識は全て身に付きます。気になる方は是非読み進めてみてください。
目次
仮想通貨の「レバレッジ取引」とは、自身の保有している資金を証拠金とする事で、その何倍もの金額をかけた資金の運用が可能な取引の事です。
このレバレッジ取引を行う事によって、通常よりもより大きなリターンを期待する事ができるようになります。
レバレッジ取引では、例えば自身が100万円を元手とし、レバレッジ倍率が「3倍」だとした場合、最大300万円分のビットコインを取引する事が可能となります。(※レバレッジ倍率の最大値は各取引所によって異なりますが、詳しくは後述します。)
そもそも「レバレッジ」とは、小さな力でも大きなパワーを発揮させる事が出来る「てこの原理」の事を指しています。
そしてこのレバレッジ取引は「ビットコインFX」でも行えるようになっており、他にも外国為替を用いたFXなどで主流な取引方法となっています。
>>>ビットコインFXとは?その特徴や現物取引との違いについてはこちら!
レバレッジ取引と現物取引の違いについてですが、その違いは主に「レバレッジをかけられるか」と「保有可能なポジション」の2つです。
まず、現物取引はレバレッジ取引が出来ず、その取引金額は自身の保有する資金に限ります。
そして、現物取引では「買い」のポジションしか保有する事が出来ませんが、レバレッジ取引では「買い」と「売り」の両ポジションを保有する事が出来ます。(※ここで言う「ポジション」とは、買ったまま、もしくは売ったままそれを決済せずに保有している約定のことを表します。)
現物取引 | レバレッジ取引 | |
---|---|---|
レバレッジ | できない | できる |
保有可能ポジション | 買いのみ | 買いでも売りでも可能 |
このように、レバレッジ取引には証拠金を元にレバレッジをかけられる点と、買いと売りの両ポジションを持てる点が現物取引とは異なっているのです。
では、以下よりレバレッジ取引のメリットについてを見ていきましょう。
レバレッジ取引を行う事によって、通常の現物取引よりも大きなリターンを狙う事ができるようになります。
そのレバレッジ倍率は、国内であればLiquidが最大25倍、そして海外であればBitMEXが最大100倍を誇っていますが、以下の図のように、レバレッジをかければかける程そのリターンは膨れ上がります。
レバレッジ倍率 | 5倍 | 10倍 | 15倍 | 100倍 |
---|---|---|---|---|
元本 | 10万円 | 10万円 | 10万円 | 10万円 |
投資額 | 50万円 | 100万円 | 150万円 | 1000万円 |
価格変動率 | 10% | 10% | 10% | 10% |
リターン | 5万円 | 10万円 | 15万円 | 100万円 |
このように、同じ投資元本と価格変動率でも、レバレッジ倍率を高めれば高める程リターンが大きくなるのです。
なお、仮に10万円の自己資金にレバレッジを100倍かけて1,000万円で運用したとすれば、たった+10%の価格変動でも自己資金10万円で+100万円の利益を手にする事ができるのです。
なお、上述した通りレバレッジ取引では仮想通貨のポジションを「買い」からでも「売り」からでも保有する事が可能です。
なので、レバレッジ取引は上昇局面では「買い」、そして下落局面では「売り」を入れる事によって、相場が上昇しても下落しても利益を獲得できるチャンスがあるのです。
現物取引では「買い」のポジションしか持つ事ができなかったので、これもレバレッジ取引のメリットの一つだと言えます。
では、次にレバレッジ取引のデメリットについてを見ていきます。
レバレッジ取引では、保有ポジションの損失額が膨らみ「証拠金」の額が一定数を割った際に「強制ロスカット(強制決済)」される場合があります。
ロスカットとは、一定の損失額を超えてしまったポジションが強制的に決済される事であり、これによってそのポジションは解消され、それ以上の損失を被ることは無くなります。
>>>ビットコインFXにおける「ロスカット」についての詳細はこちら!
ですが、このロスカットによって損失が確定してしまうと、その後反発したとしてもその値上がりの恩恵は受けられません。
当然レバレッジ取引の場合は現物取引と比べて損失額も数倍となりますから、ポジションを入れてすぐに強制ロスカットされてしまう事もあるのです。
このように、レバレッジ取引による強制ロスカットですぐに損失が確定してしまう点がデメリットだと言えるでしょう。
なお、レバレッジ取引ではその手数料として「レバレッジ手数料(スワップポイント)」がかかる場合もあります。
このレバレッジ手数料は、自身がレバレッジをかけて保有しているポジションに1日単位でかけられる手数料であり、このレバレッジ手数料が重なると通常の現物取引よりも大きなコストとなってしまいます。
なお、このレバレッジ手数料の数値は各仮想通貨取引所によって異なりますが、詳しくは後述します。
レバレッジ取引では、主に「スプレッド手数料」と「レバレッジ手数料(スワップポイント)」といった2つの手数料が発生します。
スプレッドとは「売値と買値の差額」の事を表しており、これがレバレッジ取引でかかる実質的な手数料となります。
例えば、DMMビットコインのレバレッジ取引を見ると(ビットコイン)、それぞれ買値(Ask)が389,282円、売値(Bid)が388,582円となっており、そのスプレッドは「700円」である事がわかります。(※価格は2019年1月15日現在)
このように、取引所によっては大きなスプレッド手数料が上乗せされる為、最初に仮想通貨を購入した時点でスプレッドの分だけマイナスのスタートとなるのです。
なので、取引所を選ぶ際はこのスプレッド手数料が安いのか、高いのかをしっかりと確認しておきましょう。
レバレッジ手数料(スワップポイント)とは、上述した通りレバレッジ取引の際にかかる手数料です。
そもそもレバレッジ取引は自分の元手を証拠金として預け入れる事で、その倍率分の資金を取引所から借り入れる事ができますが、そこでその資金の借り入れの為に「レバレッジ手数料」を支払う必要があるのです。
なお、このレバレッジ手数料は1日単位だとだいたい0.025〜0.05%と低水準なのですが、(詳しい手数料率は後述)仮にそのまま1年間レバレッジをかけたままのポジションを放置していたとすると、年間で10%を超えるレバレッジ手数料となってしまいます。
なので、レバレッジ取引を長期的に行いたいと考えている方は「レバレッジ手数料」に十分注意しておいてください。
また、レバレッジ取引に必要な「必要証拠金」の定めは各取引所によって様々なのですが、実際に取引する金額に対して自身にどのくらいの証拠金(担保となる資金)が必要なのかを確認する為の「証拠金維持率」といったものがあります。
そして、自身の保有ポジションの損失によってこの証拠金維持率が一定水準以下に下がると、強制的にロスカットされたり、取引所によっては追加の証拠金を要求されたりします。(これを追証といいます。)
さて、その証拠金維持率の計算方法ですが、GMOコインを参考にすると以下の通りとなります。
例えば、レバレッジ取引によって合計1000万円のビットコインを運用したい場合に、必要証拠金がその運用額の20%だったとすれば、必要な証拠金は200万円となります。
この場合は5倍のレバレッジ取引となりますが(200万円の元手で1,000万円の取引)、この時点で自身の口座にちょうど200万円があった場合、証拠金維持率は以下の通りです。
証拠金維持率=
200万円/200万円=100%
また、もしも口座の残高を倍に増やして400万円とした場合、その証拠金維持率は以下となります。
証拠金維持率=
400万円/200万円=200%
このように、自身の口座残高や評価損益、必要証拠金によって証拠金維持率を計算する事ができます。
では、レバレッジ取引が出来る仮想通貨取引所をピックアップし、それらを「レバレッジ手数料」「レバレッジ倍率」の2つの観点から比較していきます。
まず「そのレバレッジ手数料はそれぞれいくらなのか」についてですが、国内取引所のレバレッジ手数料を以下の一覧表にまとめています。(※数値はいずれも2019年1月28日現在)
取引所名 | レバレッジ手数料 |
---|---|
bitFlyer | (建玉金額の絶対値×0.04%/日)の合計 |
GMOコイン | 建玉ごとに0.04%/日 |
DMMビットコイン | 建玉金額の0.04%/日 |
BITPoint | 無料 |
Liquid | 0.025%/日 |
Coincheck | ・ロングポジション 約定金額×0.04%/日 ・ショートポジション 約定金額×0.05%/日 ※2019年1月27日現在レバレッジ取引は一時停止中 |
みんなのBitcoin | ポジションごとに0.05%/日 |
※建玉(たてぎょく)とは、取引所で約定した未決済の保有ポジションのこと。
上記の表を見ると、現状「BITPoint」や「Liquid」のレバレッジ手数料が低い事がわかります。
では、次に各国内の仮想通貨取引所ごとに定められている「レバレッジ倍率」を一覧表で比較してみましょう。
取引所名 | レバレッジ倍率 |
---|---|
bitFlyer | 最大15倍 |
GMOコイン | 最大10倍 |
DMMビットコイン | 最大5倍 |
BITPoint | 最大4倍 ※2019年2月上旬に最大25倍から4倍に変更予定 |
Liquid | 最大25倍 |
Coincheck | 最大5倍 ※2019年1月27日現在レバレッジ取引は一時停止中 |
みんなのBitcoin | 最大25倍 |
上記の表のように、「Liquid」「みんなのBitcoin」などがそれぞれレバレッジ倍率最大25倍を誇っています。
なお、レバレッジ取引やビットコインFXを行える各仮想通貨取引所の詳しい比較は以下の記事にて紹介しているので、是非あわせて読んでみてください。
>>>仮想通貨のレバレッジ取引やビットコインFXを行える取引所の比較はこちら!
なお、仮想通貨のレバレッジ取引は国内のみならず海外の仮想通貨取引所でも行う事が可能ですが、その代表的な海外取引所が「BitMEX(ビットメックス)」です。
このBitMEXの最大の特徴はレバレッジ取引が「最大100倍」までに設定できる点であり、さらに「Maker手数料」がマイナスに設定されている点も魅力的です。(※2019年1月現在)
出典:BitMEX
なお、BitMEXはビットコインの取引量が「BTC/USD」ペアで世界第1位を記録しており、グローバルに支持を得ている取引所だと言えます。
BitMEXであれば、ハイレバレッジでFX取引を行う事も可能なので、興味のある方は是非登録してみてください!
では、以下より実際に仮想通貨のレバレッジ取引を行う方法を、「GMOコイン」を例として具体的に紹介していきます。
まずは、仮想通貨取引所の口座を開設しておきましょう。
国内の取引所においては、実際の取引までに「本人確認書類のアップロード」ならびに「二段階認証の設定」「日本円の入金」などを行う必要があり、取引を始めるまでに複数のステップが必要です。
なので、事前に余裕を持って取引所の口座を開設し、入金するようにしておいてください。
>>>GMOコインの口座開設の手順や入金方法についてはこちら!
仮想通貨取引所の口座開設が完了して入金を終えると、以下の画面から「レバレッジ取引」あるいは「仮想通貨FX」のいずれかを選択してください。
※GMOコインでは「レバレッジ取引」と「仮想通貨FX」の2つの取引方法があり、どちらでもレバレッジ取引を行えます。また、レバレッジ取引は「取引所形式」で倍率は5倍、10倍(BTC/JPYのみ10倍)のいずれか、そして仮想通貨FXは「販売所形式」で倍率は5倍、10倍(BTC/JPYのみ10倍)のいずれかとなっています。
「レバレッジ取引」を選択した場合は、以下の図に従って「買い」「売り」を選択し、最後に「必要証拠金」や「ロスカット予想価格」を確認して注文を実行しましょう。
次に「仮想通貨FX」を選択した場合ですが、以下の図のようにまず「取引ペア」を選択し、注文タイプを選びます。(仮想通貨FXの注文方法についてはこちらで解説)
そして取引したい通貨の数量(指値注文であれば価格も)を入力し、成行注文の場合は注文価格と約定価格の誤差の許容範囲を設定する為の「許容スリッページ」も入力しましょう。
なお、その後は「レバレッジ倍率」を5倍・10倍のいずれかに設定し、最後に証拠金維持率や必要な証拠金等を確認して注文を実行してください。
日本では、2018年10月24日に日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が自主規制団体として金融庁に正式に認定されましたが、同協会は2018年9月12日に発表した研究会資料にて、証拠金取引に関する規制についてを発表しました。
出典:日本仮想通貨交換業協会
上記の資料の中にもあるように、同協会は協会指定水準としてレバレッジ倍率を4倍で統一するといった方針を示しています。
つまり、今後各国内取引所で定められているレバレッジ倍率が下がっていく事が予想できますね。
なお、実際にBITPointはもともと最大レバレッジ25倍と設定していたものの、2019年2月より4倍への引き下げを発表しています。
※参考:【重要】最大レバレッジ倍率の引き下げのお知らせ(第二報)
なので今後、業界全体的にも「レバレッジ倍率の引き下げ」が行われる可能性は高いと言えるでしょう。
以上が仮想通貨のレバレッジ取引についてでしたが、レバレッジ取引は少ない元手でも大きなリターンを生む事ができるので、短期間の取引で大きくリターンを狙いたい人にはおすすめです。
しかし、それ相応に損失を被った場合はその損失額も大きくなり、場合によっては強制的にロスカットとなることもあるので、リスクを十分に理解した上で行うようにしましょう。
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。