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本記事では、仮想通貨(ビットコイン)FXで最も多く用いられるテクニカル指標の「移動平均線」についてを解説していきます。
この記事を最後まで読めば、なぜ移動平均線が必要なのかや、その種類や設定方法、そして移動平均線を用いたトレード手法までを知る事ができます。
目次
移動平均線とは、テクニカル分析の中でも相場の方向性やトレンドを掴む為の最も代表的な「トレンド系分析」の一つであり、英語で「Moving Average Line(MA)」と呼んでいます。
移動平均線は一定期間(5日、25日、75日など)の終値における平均価格を算出してそれを線で繋ぎ合わせ、過去の平均価格よりも現在の価格が「高いのか・安いのか」を比較する為に用いられます。
唐突ですが、あなたは自分が出した何かの得点や数値を、過去の全体の平均値と比較した事はありませんか?
例えば学生時代のテスト、自分が会社から受け取る給料、カラオケの採点などが挙げられると思いますが、いずれも「過去の平均スコア」のようなものが算出され、その過去の平均値と現在の点数とを比較できるようになっています。
このように、移動平均線は現在の相場を「過去の平均」と照らし合わせながら割安か割高かを判断する為の指標となり、株やFXでも使える最もポピュラーな手法なのです。
では、なぜ移動平均線を使って売買する必要があるのかについてを紹介していきます。
移動平均線は相場のトレンドを読む際に役立ちます。
移動平均線は「過去の平均価格を算出する指標」だと説明しましたが、基本的に相場が上昇トレンドの時は移動平均線が実体(ローソク足)よりも低くなり、反対に下落トレンドの時は移動平均線が実体よりも高くなります。
実際のチャートを見ても分かるように、基本的に相場が上昇している時は移動平均線が下にあり、下落している時は上にあります。
このように、現在の価格が「過去の平均値よりも上か下か」を確認する事で現在の相場のトレンドを掴みやすくなるのです。
なお、移動平均線と合わせてトレンドラインなども利用していけば、より正確にトレンドを把握できるようになります。
この移動平均線は「テクニカル分析の王道」であり、チャートに移動平均線が使えないような取引所やツールはほとんどありません。
なので、多くのトレーダーも同じようにそれを見て売買していると言えます。
市場参加者の「欲望」や「集団心理」が働く相場では、多くのトレーダーに用いられるテクニカル指標ほど意識されやすくなるので、その指標を使ったトレードの有効性も上がるというわけです。
なので、代表的なテクニカル指標である移動平均線は、トレードの際に少なからず意識しておかなければなりません。
一言で「移動平均線」とは言っても、その数値の計算方法は様々です。
以下より、各移動平均線を種類別に解説していきます。
単純移動平均線(SMAもしくはMA)とは、冒頭で説明した通りある一定期間の終値の平均価格を算出したもので、英語で「Simple Moving Average」と呼ばれています。
例えば、5日間の移動平均線を算出しようと思えば単純に「過去5日間の終値の平均値」で計算でき、10日間の移動平均線であれば「過去10日間の終値の平均値」で計算できます。
5日間の単純移動平均=
(1日目の終値)+(2日目の終値)+(3日目の終値)+(4日目の終値)+(5日目の終値)÷5
加重移動平均線(WMA)とは、単純移動平均線とは違って直近の価格に比重を置いた移動平均線です。
単純移動平均線では定めた期間のデータを全て平等に扱いながら平均値を算出していましたが、WMAは直近の価格になるほどその比重を高めて計算していきます。
5日間の加重移動平均=
(5×当日の終値)+(4×1日前の終値)+(3×2日前の終値)+(2×3日前の終値)+(1×4日前の終値)÷(5+4+3+2+1)
これによって、古い価格の比重を軽くして、より最新の価格推移を重視した分析ができるようになります。
指数平滑移動平均線(EMA)とは、単純移動平均線や加重移動平均線よりも直近の新しい価格の比重を高めて平均値を算出する方法であり、英語で「Exponential Moving Average」と呼ばれています。
1日目=N日の終値の平均
2日目以降=前日のEMA+平滑定数×(当日終値-前日のEMA)
※平滑定数=2÷(N+1)
このように、EMAはWMAと同様、新しい価格の比重を高めて平均値を出すので、直近の値動きを重視して過去の値動きを相対的に軽視しながら相場を分析する事ができます。
なお、移動平均線の中でも特に多くのトレーダーが利用しているのがこのEMAとなっています。
「じゃあ、移動平均線は何日に設定すれば良いの?」「そもそも移動平均線は一本だけで良いの?」
あなたは今こういった疑問を持っているのではないでしょうか。
結論から言うと、移動平均線の日数は一般的に「25日・75日・200日」の3本が多く用いられています。
なお、トレーダーによっては別の日数を設定しているかもしれませんが、基本的にテクニカル指標は多くのトレーダーが意識しているもの程有効性が高くなります。
なので、実際に移動平均線を自分のチャートに表示しながらその有効性を検証してみてください。
上述したように、移動平均線は一本のみではなく複数の線を「短期」「中期」「長期」で各期間毎に表示させた方が良いでしょう。
複数の線を同時に利用する事によって、1本の時よりもより正確にトレンドを測る事が可能です。
例えば3本とも同じ方向を向いて動いている相場であれば、それがより強力なトレンドであると判断する事もできます。
なお、移動平均線を複数使用する事によって、「ゴールデンクロス・デッドクロス」といった売買のシグナルを探し出すのにも役立ちます。(詳しくは後述)
では、各取引所やツール毎の移動平均線の設定方法を確認していきましょう。
TradingViewの場合、まず画面上にある「インジケーター」をクリックし、「移動平均線」と検索しましょう。(MA・EMAなどで検索しても表示されます。)
次に表示された移動平均線の「設定(歯車)」をクリックして期間の入力を行いましょう。
GMOコインのビットコインFXチャートの場合はデフォルトで移動平均線が設定されています。
なお、GMOコインで利用できる移動平均線は以下の通りとなっており、現状変更は出来ない仕様となっています。
bitFlyerでビットコインFXが可能な「bitFlyerLightning」でも取引チャートにはじめから移動平均線が搭載されていますが、以下の図のように、チャート(拡大画面)の右上にある赤枠をクリックすると各移動平均線の期間の設定が行えます。
では、以下より移動平均線を使ったトレードのコツについてを紹介していきます。
移動平均線を使ったシンプルなトレード方法には「移動平均線にタッチしたら売買し、移動平均線をブレイクしたら決済する」というやり方があります。
これはトレンドラインを引いたトレード方法と似ていますが、移動平均線は上昇トレンドならば「サポートライン (下値支持線)」、下降トレンドならば「上値抵抗線」として意識されます。
以下のチャートは実際に一本のEMA(75日)を使っていますが、各トレンドで移動平均線が意識されている事がわかります。
上のチャートでは上昇トレンド時にEMAがサポートラインとして機能していますが、下のチャートのような下降トレンドの場合はEMAがレジスタンスラインとして機能しています。
このケースだと、価格がEMAにタッチした時点で買い(売り)を入れ、その後価格がEMAを下抜け(上抜け)した際に決済すれば利益を獲得する事が出来ます。
次に異なる期間の2本の移動平均線を用いたトレード方法である、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」について紹介していきます。
ゴールデンクロスとは、中期(または短期)の移動平均線が長期の移動平均線を「下から上」にクロス(交差)して抜ける事を言い表します。
このゴールデンクロスが表れたら「買い」のサインだと言われており、下落トレンドから上昇トレンドへの反発の可能性が高いとされています。
デッドクロスとは、中期(または短期)の移動平均線が長期の移動平均線を上から下にクロス(交差)して抜ける事を言い表します。
このデッドクロスが表れたら「売り」のサインだと言われており、上昇トレンドから下落トレンドへの転換の可能性が高いとされています。
なお、ゴールデンクロス・デッドクロスに関しては以下のリンクで詳しく解説しています。
>>>ゴールデンクロス・デッドクロスについての詳細はこちら!
なお、移動平均線と価格の乖離を意識しながら売買するのもトレードのコツの一つです。
なぜなら、実際の価格と移動平均線との乖離があまりにも大きければ、「やがては修正されてその乖離が小さくなる」といった相場の経験則があるからです。
実際に以下のチャートを見ると、価格が移動平均線と離れる度にその価格が反転し、移動平均線に沿った動きとなっている事が分かります。
なお、「実際の価格が移動平均線からどれだけ離れているか」を数値化した指標には「移動平均線乖離率」といったものがあり、それを用いて相場の「買われすぎ・売られすぎ」を判断する事が出来ます。
なぜ移動平均線を使った方が良い?
移動平均線を使ったトレード方法
以上が移動平均線についてでしたが、移動平均線は相場のトレンドフォローをしていく上で非常に重要な指標となります。
なお、移動平均線の見方やトレーディング方法は今回紹介したもの以外にも数え切れない程存在しているので、実際に自分で調査&検証をしながら試行錯誤し、自身に合った分析手法を探し出してみて下さい。
>>>続けて「MACDの見方」についても知りたい方はこちら!
※記事内のチャートはTradingViewから引用
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。