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本記事では、仮想通貨(ビットコイン)のセリングクライマックス(セリクラ)についてを解説していきます。
この記事を最後まで読めば、セリクラの特徴や過去の事例、そして見分け方から対策までを知る事ができます。是非最後まで読み進めてみて下さい!
目次
セリングクライマックス(Selling Climax)とは、略して「セリクラ」とも呼ばれ、中長期的な相場の下落局面で投資家が弱気となり、大量の売りが殺到して市場が暴落する状況のことをいいます。
なお、セリング(Selling)は「売り」でクライマックス(Climax)は「最高潮(大底)」を表す単語である為、「売りの最高潮」の状態であるとも言い表せます。簡単にいうと、価格が雪崩のように崩れていく「パニック売り」の状態です。(ただし、セリングクライマックスの明確な定義というものは存在しない。)
このセリクラが起こると、一般的に相場が反発して上昇する傾向にあります。
なので、ビットコインのセリクラを予想して的中させられれば、値上がりして大きな利益を獲得できる可能性があるのです。
では、セリングクライマックスの特徴や見分け方についてを紹介していきます。
セリクラを予想する為に重要となるポイントは、主に以下の3点だと考えられています。
ビットコインのセリクラを見極める重要なポイントとして、まずは「相場がどれだけ暴落しているか」を見定めていく必要があります。
文字通り、セリングクライマックスとは「売りの最高潮」の状態です。
それは、既に含み損を抱えているような投資家が「もうだめだ」と思って痺れを切らして投げ売りし、その売りがまた売りを読んで連鎖的に下落しているような悲観的相場だと言えます。
なので、中途半端な相場の下落を見て「これはセリクラだ!」と思って買いを入れてしまうと、そのまま下落トレンドが続いて大火傷してしまう可能性もあるので注意が必要です。
「じゃあどうやってセリクラかどうかを判断すれば良いの?」といった疑問についてですが、セリクラを見極める為に見るべき指標の一つに「出来高」というものがあります。
出来高とは、期間中に成立した売買の数量の事を表し、この出来高が多ければ多い程売買が活発に行われている事を意味します。
特に中長期で下落が続いているような相場であれば、「どれほど損切りが出ているのか」も出来高を見て予想することができるでしょう。
なので、下落時にはこの出来高を見て「どれだけ売りが出されているか」を確認して相場の過熱感を見てみましょう。
その際、相場の暴落と同時に出来高も過去最高潮に達していれば、セリクラの可能性が高いかもしれません。
なお、相場の過熱感を確認するテクニカル指標には、「RSI」や「ストキャスティクス」といったものがあるので、合わせて確認してみても良いでしょう。
>>>ストキャスティクスの見方や使い方についての解説はこちら!
なお、セリクラによる大きな暴落の後は、下降トレンドから反転して上昇トレンドに変わる傾向があります。
なぜなら、セリクラが起きると、市場の暴落を待ち構えていた投資家が「これはセリクラだ!」と判断して一気に買いに走るからです。
しかし、セリクラを狙ってトレードするのは、いわゆる逆張り(相場の下落局面で買いを入れること)の戦法となるので、落ちてるナイフを掴む事にもなり兼ねず、高いリスクを伴います。
セリクラを見抜くのは非常に困難ですが、予想が当たれば大きな利益となる可能性も高いでしょう。
では、ビットコインで起こった過去のセリクラについてを見ていきましょう。
2017年9月14日、中国の三大取引所と言われていた「BTC China」が中国政府によって閉鎖を余儀なくされ、同取引所がサービス閉鎖を発表しました。(しかし、その後の2018年10月に韓国でサービスを再開したと発表されている。)
当時のBTC Chinaは世界有数の取引量を誇っていた事もあり、当時のビットコイン相場には大きな波紋が広がります。
そして2017年の9月14日の夕方から15日の早朝にかけて、ビットコインは半日でおよそ28%の大暴落となり、セリクラが起きました。
なお、その後は1日足らずで35%程回復し、一気に上昇トレンドへと転換している事が分かります。
当時中国ではICOの全面禁止も発表されていた事から相場はかなり悲観的でしたが、その後ビットコインは2017年12月までにかけて一直線で上昇していきました。
コインチェックの約580億円にも及ぶ仮想通貨が不正流出された事件の後となる2018年2月6日、再びビットコイン市場が大きく暴落し、セリクラが起こりました。
当時のセリクラ後は大きく価格が反発しましたが、2月6日の出来高は過去最高水準の量に達していた事が分かります。
このセリクラの原因は一つとは言えず、コインチェック事件をはじめ、2018年1月に発表されたFacebookによる仮想通貨の広告全面禁止(ただし、現在は条件付きで一部解禁されている。)、そして米ドルと連動した仮想通貨「テザー(USDT)」の準備金不正疑惑なども浮上しました。
そのような仮想通貨市場にとっての悪材料が一気に出てしまったのもあり、市場で弱気の売りが加速していった事が理由として考えられます。
過去の株式市場におけるセリクラの代表例として挙げられるのが、2008年に起きたリーマンショックです。
リーマンショックとは、2008年9月15日に当時アメリカの大手投資銀行であった「リーマンブラザーズ銀行」が経営破綻した事で起こった世界同時金融危機です。
当時リーマンショックを受けたアメリカの株価指数「S&P500」は、リーマンブラザーズが破綻した2008年9月15日から2009年3月の大底にかけて最大およそ46%の大暴落となりました。
そして以下の月足チャートを見ると、ちょうどリーマンショックの時に出来高が最高潮に達し、その後上昇トレンドに転換している事が分かります。
このように出来高が急増し、大きな暴落を見せた後にトレンド転換している事から、2009年3月の底値がセリクラであったと言えるでしょう。
外国為替市場(FX)でも、トルコリラ(TRY)の相場においてセリクラが起こりました。
2018年8月、トルコとアメリカの間の政治的な関係悪化によって起こった「トルコ通貨危機」によって、トルコの自国通貨であるトルコリラが3日で最大およそ30%にも及ぶ大暴落を起こしました。(対日本円ペア)
その後は価格が反発して上昇トレンドへと転換している事もあり、ここが大底のセリクラだったと判断できるでしょう。
この大暴落は「トルコショック」と呼ばれ、なんとトルコリラ史上最安値を記録する程の下落となったのです。
では、最後にセリクラに備えて注意しておくべき事について紹介していきます。
セリクラ時のトレンド転換を狙ってポジションを入れる際は、急な暴落に注意しておきましょう。
急な暴落となった場合は強制ロスカットによって市場から退場させられてしまう事にもなり兼ねません。
当然ですが、あなたが「今がセリクラだ!」と判断したとしても、それが本当にセリクラである保証はありませんし、そこから再び暴落してしまう可能性だってあります。
特に2018年11月はビットコインキャッシュのハードフォークに伴うマイナー同士の争いによって、ビットコイン相場が大きく下落しました。
ここで「もしかしてセリクラか?」と考えたトレーダーもいたかもしれません。ですが、その後はさらに下落となっている事が分かります。
このように、セリクラを狙ってトレードする場合には相応のリスクが伴う事となるので、必ず損切りも入れておきましょう。
>>>ロスカットや証拠金維持率などについて詳しく知りたい方はこちら!
そして、セリクラかどうかを見分ける為に、相場の下落幅や期間、出来高の多さなども合わせてチェックしておきましょう。
上述した2018年2月6日のビットコインのセリクラの場合だと、下落が中長期で続いており、出来高も大きく急増している事が分かるかと思います。
ここで一番駄目なのが、「これだけ価格が下がったら、そろそろ上がるだろう」といった当てずっぽの勘で予想してしまう事です。
なので、相場の下落幅や期間、出来高(特に重要)を見てそのタイミングをよく考えるようにしましょう。
なお、セリクラを予想する為に、TwitterなどのSNSや、仮想通貨に関する各ニュースメディアなどを見て大衆の温度感をチェックするのも一つの手です。
特にTwitterの投稿を見て悲観的な発言を見つけ出したり、「セリクラ」と検索を入れて他のユーザーの意見なども参考にしたりしてみるのも良いかもしれません。
また、海外の大手メディアなどが「ビットコインは終わった」などと言い出すようになると、セリクラのチャンスが近づくかもしれないでしょう。
セリクラとは?
セリクラの特徴
セリクラに備えて注意すべきこと
以上がセリングクライマックスについてでしたが、「セリクラがいつ来るのか」というのは予想が困難であり、判断が極めて難しくなっています。
なので、セリクラを判断する際は、相場の下落幅や期間、出来高に加え、各テクニカル分析なども同時に用いて相場を分析してみてください。
>>>仮想通貨のトレードで使えるチャート分析についての詳細はこちら!
※記事内のチャートはTradingViewから引用
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。