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本記事では、仮想通貨(ビットコイン)FXで利用できるテクニカル指標「ストキャスティクス」についてを解説していきます。
この記事を最後まで読めば、ストキャスティクスの見方や設定方法、そしてストキャスティクスを用いたトレード手法から注意点までを知る事ができます。
目次
ストキャスティクス(Stochastics)とは、RSIと同様で相場の「買われすぎ・売られすぎ」といった過熱感を判断する為の「オシレーター系指標」です。
ストキャスティクスは2本のラインが用いられ、「ゴールデンクロス・デッドクロス」を狙ったトレードに使われますが、比較的価格変動の激しい仮想通貨では特に使いやすい指標となっています。
さらに、ストキャスティクスはRSIよりも機敏に指標が動く為、レンジ相場における短期的な価格の上下を予測して行う売買にも役立ちます。
では、以下よりストキャスティクスのベネフィットやRSIとの違いについて紹介していきます。
ストキャスティクスを用いる事で、相場の「買われ過ぎ・売られ過ぎ」といった過熱感を把握するのに役立ちます。
ビットコインのチャートを見ていると、大きく上昇した際は「そろそろ下がるのではないか」と考え、反対に大きく下落した際は「そろそろ上がるのではないか」と考える心理が働くのではないでしょうか。
しかし、重要なのは相場の転換のタイミングを「感覚」で予想するのではなく、指標に基づいた「根拠」を持って予想することです。
そこで登場するのが「ストキャスティクス」です。
上記のチャートのように、RSIは基本的にその数値が80%を超えると「買われすぎ」のサインとなり、20%を割ると「売られすぎ」のサインとなります。
この指標を参考にすれば、「買われ過ぎ水準に達したのでそろそろ下がるのではないか」と考えれば「売り」、「売られ過ぎ水準に達したのでそろそろ上がるのではないか」と考えれば「買い」といったような「逆張り」の戦略を立てる事が可能です。
逆張りとは、相場の下落局面で買いを入れ、反対に上昇局面で売りを入れるといった投資スタイルのこと。
ストキャスティクスは横ばいのレンジ相場における細かな相場の過熱感を測る事ができるので、レンジ相場におけるスキャルピングトレードにも役立ちます。
反対に、ストキャスティクスは強いトレンド相場の時には不向きです。
例えば下記のような上昇トレンドの場合だとストキャスティクスが上に張り付いてしまうので、相場の周期を上手く察知出来ず、あまり参考になりません。
なので、ストキャスティクスはトレンド相場よりもレンジ相場で強く機能します。
特に2018年後半からのビットコインはレンジ相場が多くなっているので、これからストキャスティクスを用いる場面というのは多くありそうです。
ここまでを見ると何だか同じオシレーター系指標であるRSIと同じような気がしますが、そこには様々な違いがあります。
まず、RSIに比べてストキャスティクスの方がより相場の過熱に対して敏感に反応します。
上記のチャートはRSIとストキャスティクスの両方を用いていますが、レンジ相場の中ではストキャスティクスの方が上下運動が激しく、頻繁に買われ過ぎ・売られ過ぎゾーンにタッチしている事が分かります。
このように、ストキャスティクスは相場の価格変動による感度が高い為、RSIよりもレンジ相場の細かい過熱感を分析するのに役立ちます。
RSIが一本の線のみを使うのに対し、ストキャスティクスは「%K」「%D」と呼ばれる2本の線を用いています。(詳しくは後述)
簡単に説明すると、%Kが相場の動きをより敏感に捉えたものであり、%Dが少し滑らかで遅めに設定されたものです。
ストキャスティクスではこれら2本の線を使ってRSIよりも高度な分析をする事ができ、2本の線が交差したポイント(ゴールデンクロス・デッドクロス)を売買のサインとして見る事もできます。
ストキャスティクスはRSIよりも相場に敏感に反応してくれるので、レンジ相場における短期的な売買に最適であり、ビットコインのような短期的に大きく価格が変動するような投資対象に適しています。
しかし、相場に敏感である事からダマシに遭遇してしまう可能性も高くなるので、その点は注意しておきましょう。
ストキャスティクスでは2本の線が用いられると上述しましたが、下記チャートにあるオレンジ色の線を「%K(パーセントK)」、青色の線を「%D(パーセントD)」と呼んでいます。
%Kは相場に対して敏感に動き(Fast)、反対に%Dは%Kよりも遅く動きます。(Slow)
{(当日の終値-過去14日間の安値)÷(過去14日間の高値-過去14日間の安値)}×100
{(当日の終値-過去14日間の安値)の3日間合計÷(過去14日間の高値-過去14日間の安値)の3日間合計}×100
なお、一般的にストキャスティクスの期間は「%K=14(または9、5)」「%D=3」などが多く用いられています。
では、ストキャスティクスを使った実際の売買方法を紹介していきます。
ストキャスティクスではRSIと同様に買われ過ぎ(80%)、売られ過ぎ(20%)水準を狙って売買するという方法がありますが、そこで%Kと%Dの二本の線の交差ポイントにも着目してみましょう。
上記のチャートのように、%Kが%Dを上抜けした地点が「ゴールデンクロス」で買いのシグナルとなり、反対に%Kが%Dを下抜けした地点が「デッドクロス」で売りのシグナルとなります。
ですが、ストキャスティクスをよく見てみると、至る所でゴールデンクロスやデッドクロスが発生している事が分かります。
なので、買われ過ぎ・売られ過ぎと判断される80%以上、または20%以下のゾーンで発生したクロスのみを狙っていきましょう。
ストキャスティクスは買われすぎ・売られすぎ水準で売買を判断する方法だけではなく、「ダイバージェンス」と呼ばれる現象を狙って売買する方法もあります。
ダイバージェンスとは、価格とRSIなどのテクニカル指標におけるトレンドが「逆行」していく現象であり、発生するとトレンド転換の可能性が高まります。
上記のチャートのように、価格が高値を切り上げて更に高値を更新し、一方でストキャスティクスが逆に高値から安値へと切り下がった時がダイバージェンスのサインとなり、ここが逆張りのショート(売り)、もしくはロングの決済(売り)を入れるポイントとなります。
(※これが下降トレンドの場合、実際の価格における高値が切り下がり、反対にRSIが安値を切り上げた時がダイバージェンスのサインとなります。)
なお、RSIの一つのみを見て判断するとダマシに遭遇しやすくなってしまうので、他のオシレーター系指標である「MACD」や「RSI」なども確認しながらその有効性を検証して見て下さい。
では、各取引所やツール毎のストキャスティクスの設定方法を確認していきましょう。
TradingViewの場合、まず画面上にある「インジケーター」をクリックし、「ストキャスティクス」と検索してストキャスティクスを選択しましょう。
その後はチャートの下にストキャスティクスが表示されるので、もしもストキャスティクスの期間を設定したい場合は「設定(歯車)」をクリックして入力してください。
GMOコインのビットコインFXチャートの場合、チャート画面の左上にある「チャート設定」をクリックし、ストキャスティクスを選択するようにしましょう。
なお、GMOコインのレバレッジ取引では「WebTrader」と呼ばれるトレーディングツールがありますが、そちらでも上述したTradingViewと同様、「インジケーター」からストキャスティクスと検索すればチャート下に表示させる事が可能です。
bitFlyerでビットコインFXが可能な「bitFlyerLightning」では、以下のチャートのように右上にある赤枠をクリックして「ストキャスティクス RSI」を選択すれば表示できます。
では、ストキャスティクスを用いる際の注意点について解説していきます。
ストキャスティクスの指標はあくまで目安であり、必ずしも「買われすぎ・売られすぎ」水準で相場が反転するわけではありません。
特にストキャスティクスはRSIと違って相場の動きに敏感なので、市場の変化を早く察知出来る分、ダマシも多くなるという点があるので注意が必要です。
なので、その指標はあくまで目安として確認しておき、他のテクニカル指標と合わせて相場を分析するようにしましょう。
なお、トレンドが強力過ぎる場合は「ダマシ」が発生してしまう確率が高くなるので注意が必要です。
例えば以下のチャートのようなケースだと、ストキャスティクスが一旦80%を超え、再び80%を割ったと思ったらまた戻ってしまい、更に価格も高騰して高値を更新しています。
このように、強力なトレンドの初期段階にはダマシも多くあり、逆張りを狙っていると大きな損失となる可能性もあります。
もしこのケースで最初に80%を割った時点でショート(売り)を入れていたら、大きな損失となった事でしょう。
なので、逆張りを行う際はそのリスクについてを理解し、損切りを入れておくのがベストです。
ストキャスティクスを用いるメリット
ストキャスティクスを用いた売買方法
ストキャスティクスの注意点
ストキャスティクスはレンジ相場で最も力を発揮しますが、反対に強力なトレンド相場ではその数値が偏ってしまうので、まずは「今の相場がトレンドなのかレンジなのか」といった部分を認知しておく必要があります。
なので、トレンドラインを引いてみたり移動平均線を用いてみたりしながら現在の相場を確認し、より有効的な相場でトレードを行うようにしましょう。
※記事内のチャートはTradingViewから引用
キャッシュレスPAY編集長。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 新卒で大手総合金融機関であるSBIホールディングスに入社し、広告の運用やマーケティングに従事。 その後11ヶ月で退職して、現在は前職で培ったフィンテックやFPに関する知識を活かし、キャッシュレス決済に関する研究を続けている。