貯めよう 公開日:
公益社団法人 生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、65.7%の人が疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入しています。
「自分の身に何かあったら…」と考えると準備したくなる気持ちはわかります。
しかし、人によっては民間の医療保険は備えになるどころか、資産形成の足かせになり、保険貧乏になっています。将来のリスクに備えるための保険のせいで現在の生活が苦しくなるようでは本末転倒です。
そこで今回は、公的医療保険について解説します。
私事で恐縮ですが、必要最低限の保険にしか加入していません。数年で資産0円から1,000万円以上に増やすことに成功した要因の一つは、不要な民間の保険に加入しなかったことだと言えます。
ぜひ、あなたもこの記事を参考にして一度医療保険を見直してみてください。もしかしたら、数百万円も節約できるかもしれません。
目次
もし、あなたもこんな風に考えているなら、保険貧乏一直線かもしれません。なぜなら理性で判断せずに、感情で判断してしまっているためです。
感情は判断を鈍らせるため、問題に対する適切な解決策を選びにくくなります。その結果、こんな勘違いをしてしまうことも…。
こんな勘違いをしていると、お金に困る人生を送る確率が跳ね上がりかねません。
まずは民間の医療保険に関する勘違いをリセットしましょう。
民間の医療保険に関するよくある勘違いの1つ目は「民間の医療保険に加入すれば病気が治る」です。
民間の医療保険に加入しても、次の結果は得られません。
お金がもらえるだけです。しかも無条件でもらえるわけではありません。
約款、つまり契約で定められた条件を満たした場合のみですが、この約款がネックです。
なぜなら、契約内容の保障しか受けられないので、進歩していく医療に対応できず保険金を受け取れないケースも少なくないためです。
民間の医療保険に関するよくある勘違いの2つ目は「医療費が高額になると公的医療保険では手に負えない」です。
公的医療保険だけでは、医療費が高額になると家計が傾くと思い込んでいる人もいますが、これは勘違いです。
なぜなら、日本には高額療養費制度があるからです。
【高額療養費制度とは】
1ヶ月間(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が限度額を超えた場合、超過分を払い戻してもらえる制度
自己負担限度額は年齢と収入によって決まります。
次の表をご覧ください。
例えば、30代の年収500万円の人が総医療費100万円の治療を受けたとしましょう。
【30代の年収500万円の人が総医療費100万円の治療を受けた場合】
高額療養費制度というセーフティネットのおかげで、ある程度の貯蓄があれば医療費で生活が破綻することはないでしょう。
公的医療保険はあなたの生活を守る最強の盾です。ですが、その盾のスペックについてきちんと説明できる人は多くありません。知らない人は、損をする確率がグッと上がってしまいます。
なぜなら、過度に不安を煽る保険のセールストークや広告などに感情を揺さぶられた時に、知識で防衛できないからです。
余計な支出を増やさないためにも、最低限次の3つは覚えておきましょう。
順番に解説します。
ご存知でしょうが、私たちが暮らす日本は国民皆保険の国です。職業や年齢によって加入する保険は異なりますが、全員が以下のいずれかの保険に加入します。
ところで、国民皆保険制度なんて当たり前と思っていませんか?
実は、この制度は歴史が浅いんです。
平成23年版 厚生労働白書 第一部 第2章によると、1961年に実現したとのことです。まだ生まれて60年ほどしか経っていないのです。
1961年以前は医療を受けられずに亡くなる人が大勢いました。今の私たちには想像しづらいのではないでしょうか。
国民がお金を出し合い、さらに税金まで投入して病気やケガなどで困った人が経済的に困窮しないために先人が作り上げたこの制度は当たり前ではありません。
あなたの身の回りに医療費が払えないから自己破産した人がいますか?
日本の公的医療保険は私たちを守るために、平等かつミニマムに作られています。ミニマムと聞くと「役に立たないのでは?」と心配になるしれませんが、そんなことはありません。
健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要な医療を提供するならミニマムで十分だからです。洗練されているとも言えるでしょう。
なお、公的医療保険の対象外となるのは以下のものです。
また、医療費そのものが高額でないことも見逃せません。
厚生労働省の「公的医療保険って何だろう?」ワークシート活用マニュアルによると、アメリカで急性虫垂炎で入院・手術(1日入院)を受けた場合には、1万ドル以上が請求されるとのことです。
一方、日本で急性虫垂炎で入院・手術した場合にかかる医療費は約31万円。
病院に行ってお金を払う時に、私たちが負担する金額は原則3割です。もしも公的医療保険がなかったら、私たちの負担はもっと増えます。
例えば、治療費が10,000円かかったとしましょう。
忘れていけないのは、自己負担額には上限があることです。
先ほど紹介した高額療養費制度を思い出してください。
1ヶ月間の総医療費が100万円だったとしても、30代の年収500万円の人なら自己負担額は約8.7万円です。
しかも治療が長期に及ぶ場合は、「多数該当」が適用され、自己負担額はさらに軽減されます。
「不安だからとりあえず保険に加入しておこう」と感情に流されて保険に加入すると痛い目にあいます。
リスクに備えるつもりで加入した保険が家計を圧迫し、人生の選択肢が狭くなっている人は少なくありません。保険貧乏にならないためにも、一度頭の中身を整理整頓しましょう。
保険の原理原則は以下のとおりです。
つまり、助け合いです。
言葉だけだとピンとこないかもしれないので、次の表をご覧ください。
確率(低) | 確率(高) | |
損害(小) | 貯蓄で備える | 貯蓄で備える |
損害(大) | 保険で備える | 近づくのダメ。絶対。 |
保険は問題に対する解決策の1つでしかありません。保険が間違った選択肢であることもあります。
保険は全ての問題に対して最適な選択肢ではないということです。ここを勘違いすると「保険に加入するのが一番の備え」と思い込み、不要な民間保険にお金を払い続けることになります。
例えば、次のトラブルは「低い確率で起こって、大損害になる」事例です。
一家の大黒柱が死亡してしまうと、残された家族は路頭に迷ってしまいます。
火災で家が燃えてしまった場合も同様ですね。
自動車事故で人を死なせてしまった場合も、経済的に手に負える個人は少ないでしょう。
2019年データに基づく最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計]によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は以下のとおりです。
確かに「2人に1人ががんになる」のは間違っていません。
ただし、これは後期高齢者が全体の数字を押し上げているためです。
年齢を重ねれば、がんになる確率が上がりますが、若いうちは過度に怯える必要はありません。
次のグラフをご覧ください。
推計値ですが、後期高齢者と30代の人を同列に扱うのは無理があるのではないでしょうか。
まず結論ですが、民間の医療保険は必須ではありません。このことは絶対に忘れないでください。
その理由は2つあります。
この考えを理解すれば、多くの人がハマりやすい保険の落とし穴を押さえられ、貯金が増えやすくなります。
前半でも解説しましたが、すでに私たち日本人は国民皆保険制度により、公的医療保険に加入しています。
高額療養費制度など、医療費によって家計が破綻しないように様々な制度が用意されているのです。
会社員や公務員の人であれば、病気やケガで長期間働けなくなった場合や、死亡した場合の保障も手厚いのが特徴です。
これだけ揃っているので、会社員や公務員の人であれば、公的医療保険と貯蓄で十分であることは珍しくありません。
ただし、自営業者やフリーランスの人には、これらの制度はありません。十分な貯蓄を用意するか、都道府県民共済の入院保障2型などで備えるのがコスパが良いでしょう。
次の理由は「民間の医療保険は使い勝手が悪く、保障が時代遅れになるから」です。
具体的には以下のとおりです。
ところで、入院日数は減少傾向にあると知っていましたか?
平成29年(2017年)患者調査の概況「3 退院患者の平均在院日数等」を見てみると全年齢で在院日数は右肩下がりであることがわかります。
つまり、年々入院による給付金は減少しているわけです。
さらに医療の進歩により副胸腔手術などの体への負担が少ない手術も行われるようになりましたが、民間の医療保険の対象外となることが明記されていることもあります。
あなたの身の回りにも「保険で得した!」という人がいるのではないでしょうか?
確かに保険で得する人がいるのは、事実です。ですが、そもそも保険は得するために加入するものではありません。
保険の原理原則を思い出しましょう。
儲けたいなら保険ではなく、
などで証券口座を開設して投資を始めましょう。
保険に加入することで儲かるなら、保険会社は潰れてしまいます。そんな商品を売るはずがありません。
なぜなら、保険料よりも多くの保険金をバラまいていたら、資金が底をついてしまうからです。支出が収入を上回れば、家計が火の車になるのと同じです。
実際、コロナ保険は保険料の支払いが膨らみ、販売停止に追い込まれました。
販売停止に至った大まかな流れは以下のとおりです。
起きる確率が高く、加入者の多くが金銭的に得をするような保険商品は保険会社の経営を傾かせてしまうことを学べる典型的な事例です。
あなたが保険会社を経営しているなら、そんな保険商品を売りたいですか?
民間の医療保険はボランティアではありません。
もしあなたが1万円を払っているとすると、そのうちの何割かは保険会社の利益や経費になります。収益がなければ、保険会社は破綻してしまうので当然です。
これがトリックです。
もう一度、保険の原理原則を思い出しましょう。
そもそも保険料を払う機会が低くなるように保険商品は設計されます。もしくは保障を薄くしたり、保険料を高くして調整することも珍しくありません。
もし保険料をバンバン払っていたら会社の経営が傾くからです。
先ほど紹介したコロナ保険が良い事例でしょう。
つまり民間の医療保険はその構造上、
となるわけです。
民間の医療保険は使い勝手もコスパも良くありません。ですが、全ての民間保険が不要というのは早計です。
くどいようですが、保険の原理原則を思い出しましょう。
起きる確率は低いものの、起きてしまうと生活が破綻する恐れがあるトラブルには保険は有効です。
具体的には次の3つの民間保険は加入する価値があります。
いずれも低確率ですが、損失額は数千万円〜数億円と人生を狂わせるには十分すぎる破壊力です。
※後日、それぞれの保険(社会保険含む)について深堀り記事を用意
不要な民間の医療保険に加入せず、適切な保険だけに加入すればコスパよくリスクに備えることができます。
その上で、浮いたお金を上手に使えるようになればお金で困ることはまずありません。
今回は保険の話でしたので、もっと保険について学びたい人には以下の書籍がおすすめです。
一見すると保険に関係ないと思うものもありますが、どれもあなたの健康とお金を守る知識を与えてくれる良書です。
こちらはAmazonレビューでも星5つ中の4.3という高評価の保険に関する本です。
「なんとなく不安だから保険に入ってる」と思っている人にとっては目を覚ましてくれる内容で、保険の営業マンが決して語ることのない不都合な保険の事実について知ることができます。
毎月の保険料が5,000円を超えている人は払いすぎの可能性があるので、一度保険というものを別の角度から見る必要があります。価格の10倍以上の価値があると言ってもいいくらいです。
※アフィリリンクの挿入お願いします。
医療保険に加入しても病気が治るわけではありません。大事なのは、病気にならない生活を送ることです。
とはいえ、情報が多すぎて、何が正しくて、何が間違っているのかが判断できず、結局何もしないままただ時間だけが過ぎていくと感じている人もいるでしょう。
この本は100の科学的メソッドに裏打ちされた厳選された内容が書かれており、従来の再現性に欠けるノウハウ本とは一線を画しています。カスタマーレビューも3,271件あり、星5つ中の4.3の高評価なのでおすすめです。
※アフィリリンクの挿入お願いします。
こちらは、AmazonのオーディオブックサービスAudible版もあります。なんとAudibleをまだ利用したことのない人なら最初の30日間は無料です。無料期間中に解約すればお金がかからないので、まだの人はこの機会にぜひチェックしてみてください。
「保険と健康に一体、何の関係が?」と思うでしょうが、クロサギを読むと私たちがいかに理性ではなく感情で物事を判断してしまうのかを学べます。
お金で苦労している人は、お金のストレスから逃げるためにアレコレ挑戦しますが、そのほとんどが失敗に終わります。お金に困っていると理性が働かなくなり、間違った判断をしてしまいやすくなるからです。
人間心理の理解が深まると、巧妙に仕掛けられた社会の罠にハマりにくくなり、平穏に暮らしやすくなります。
※アフィリリンクをお願いします。
日本は国民皆保険の国であり、必要十分な医療は誰でも3割負担で受けられます。
治療費が高額になってしまっても高額療養費制度があるおかげで、医療費で家計が破綻する心配もないでしょう。
これだけ充実しているのですから、わざわざ使い勝手とコスパの良くない民間の医療保険をトッピングする必要はありません。使い道を自由に選べる貯金で備えるほうが賢いと言えるでしょう。
何より、保険に加入しても病気が治るわけでも、健康になるわけでもありません。
民間の医療保険に加入している、あるいは加入を検討している人は、この機会にまずは健康的な生活習慣を身につけてはいかがでしょうか。
32歳で貯金ゼロの状態から約2年で資産をサクッと1000万超えさせたWebライター。ミニマリズムという考えに出会い支出の最適化の結果、生活費は約7万円。現在はセミリタイアするべく株式などに投資しつつ簿記3級の取得に向けて勉強中。